一節 #002 です。前回(#001)は、現行の解説にある「体育の見方・考え方」の定義を読みました。今回は、同じ定義が次期に向けた審議資料でどう書かれているかを、並べて読みます。
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今回の一節
ここからは【審議段階】の資料です。2026年7月10日の第11回ワーキンググループに出された「体育・保健体育、健康、安全WG取りまとめ(案)」の補足イメージに、体育の見方・考え方が次のように書かれています。
運動やスポーツを、心身の充実に果たす役割や多様な楽しみ方の視点から捉え、自他の豊かな生活及び活力あふれる社会づくりにつなげること。
体育・保健体育、健康、安全WG取りまとめ(案)p.13 補足イメージ②(2026年7月10日 第11回)【審議段階】
並べるために、現行の定義をもう一度置きます。
運動やスポーツを,その価値や特性に着目して,楽しさや喜びとともに体力の向上に果たす役割の視点から捉え,自己の適性等に応じた『する・みる・支える・知る』の多様な関わり方と関連付けること
小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 体育編 p.18【原文】
ひとこと:語が入れ替わり、つなげる先が広がっている
二つを並べると、語が入れ替わっているのが分かります。「価値や特性」「楽しさや喜びとともに体力の向上」「自己の適性等に応じた『する・みる・支える・知る』の多様な関わり方」が、「心身の充実に果たす役割」「多様な楽しみ方」「自他の豊かな生活及び活力あふれる社会づくり」になっています。
(ここからは私の解釈です)文の終わりが「関連付けること」から「つなげること」に変わり、つなげる先が「自己の関わり方」から「自他の生活」「社会づくり」へ広がっています。前回、現行の定義を「できる」ではなく「関わり方」で書かれている、と読みました。その「関わり方」の主語が、自分ひとりから、自分と他者、そして社会へ広がる方向に見えます。また、(運動の)価値や特性の記述がなくなっています。現行は、体育教科の固有性を意識したのでしょうが、教科固有性は希薄化し、一般的な学校教育全体の学びに位置づけられようとしています。これからこの位置取りは変わってくるのでしょうか。
ただし、これは「補足イメージ」として示された案の段階の文言です。答申や告示でどうなるかは、まだ分かりません。ここで確定したことのように語るのは、序文で約束したとおり、しないでおきます。

「社会づくり」って、小学校の体育で扱えるんですか。

正直、私もそこが引っかかっています。だから今の段階で「こう変わる」とは言いません。答申と、その後の解説で、この語がどう具体化されるかを見てから判断したいところです。
読者への問い
明日の授業で、いま扱っている運動の「この運動ならではのおもしろさ」を、子どもは感じ取れるでしょうか。そして、その授業の学びが体育でなければならない理由は、どこにあるでしょうか。運動の「価値や特性」が消えたとしても残るものは何でしょうか。これが正しいというのはありません。その是非について、あなたなりの意見を持つことが大事だと思います。
出典
- 中央教育審議会 教育課程部会 体育・保健体育、健康、安全ワーキンググループ(第11回・2026年7月10日)資料1-3「体育・保健体育、健康、安全WG取りまとめ(案)」p.13 https://www.mext.go.jp/content/20260709-mxt_kyoiku02-000050977_00113.pdf
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 体育編」p.18 https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/03/18/1387017_010.pdf


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