前の回のふりかえりで、指導上の留意点が書けていない学生が多い、という課題が出ました。そこで今回は、観点ごとに一つずつ記入していく形に変えました。足場をかける、ということです。
やってみた結果は、良くも悪くもあったというのが正直なところです。効いた相手と、効かなかった相手がはっきり分かれました。それと、思ってもみなかったところでつまずきました。
この回で変えたこと
前回は、ガイドラインと書くべき要素を示したうえで、指導案の留意点とシナリオを書く時間をまとめて渡していました。手が止まる学生が多かったので、今回は観点を絞り、一つずつ、全員で書き方を確認しながら進める形にしました。一つ書けたら次へ進む、という進め方です。
効いたところ
書けない学生には、確実に効きました。どうしてもイメージが持てず、本当に手が重い学生がいます。そういう学生には刺さったように見えました。巡回して見てみると、なんとか書いていたり、書こうとしている姿が見えました。ここは変えてよかったと思います。
書く手が止まる理由は一つではありません。書き方が分からない場合もあれば、文章を組み立てること自体に時間がかかる場合もあります。後者には、観点を割っても足りないので、できるだけ励まして、背中を押す言葉をかけながら、とにかく少し余分に書くことを意識させました。
効かなかったところ すでに書ける学生には余る
一方で、すでに自分で書けている学生には、この支援はあまり意味がありませんでした。観点ごとに確認するという点では無駄ではないのですが、その学生たちにとっては時間の使い方としてもったいなかったかもしれません。
足場をかけるというのは、書けない側に合わせる手当てです。かければかけるほど、書ける側には余ります。どちらに合わせるか。ここは今も答えが出ていません。
思ってもみなかったつまずき 画面だと見比べが起きない
この回でいちばんの発見は、ここでした。
観点ごとに書いたあと、近くの人と確認し合う時間を取りました。これがうまくいきませんでした。理由は、やり方ではなく道具のほうにありました。パソコンの画面を互いに確認するのは、やりにくいのです。
紙であれば、持ち上げて、隣に並べて、行き来しながら見比べられます。画面はそれがしにくい。自分の画面を相手に向けるという一手間が要りますし、二つを並べて行ったり来たりができません。パソコン作業にした途端、見比べが生まれにくい構造になっていました。
前の回で、学生がパソコンを使い慣れていないことを書きました。使わせる必要はある、といまも思っています。ただ、使わせることで失われるものも、同じ授業の中にありました。読み合わせや見比べをさせたい場面では、紙に出すほうがよさそうです。
パソコンの扱いそのものは、良くなった
良かったこともあります。前回に比べて、パソコンの扱いは確実に良くなりました。ファイルを開くところでつまずく場面は、今回はありませんでした。ある程度の回数、実際に使わせることが大事だと思います。指導案を書かせること自体も、その機会になっています。
なぜ書かせるのか、を言い直した
書くことの必要感は、持ちにくいものです。当日はなんとかなる、という構えにもなりやすい。ですから今回は、目の前の実践をなんとかするために書いているわけではないということを強調しました。
書くことは、一つの作法であり、職務に対する誠実さだと考えています。多くを考えるために書く。前の回で、書くことを目的にしてはいけない、具体的に予想しておくことで経験を有意味に引き取れるようになる、と書きました。それに加えて、書くという行為そのものが仕事の構えをつくる、ということです。これが届いたかどうかは、まだ分かりません。
残った宿題 シナリオの読み合わせ
シナリオの読み合わせも試しました。ここは難しさが残りました。どうしても、これはそうならないだろう、というシナリオが出てきます。そこをどう押したらよいか。そもそもシナリオが要るのかどうかという問いもありますが、いまは指導案をより具体化するための位置づけとして書かせています。
成果はどこで分かるか
今回のやり方がよかったのかどうかは、最終的にマイクロティーチングそのものを見るまで分かりません。足場をかけた分が、当日の授業に出てくるのか。そこで受け取れるのだろうと思っています。
足場をかければ、書けない学生は書けるようになる。けれど、書ける学生には余る。どちらに合わせるかは、やはり難しい。それが今回のふりかえりです。

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