一節 #005 です。ここからは「態度」を読みます。取りまとめ(案)の中で、体育の骨格がいちばん大きく動きそうな箇所ですが、まずは現行がどう書いているかからです。目標の(3)と、その解説を読みます。
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今回の一節
(3) 運動に親しむとともに健康の保持増進と体力の向上を目指し,楽しく明るい生活を営む態度を養う。
小学校学習指導要領(平成29年告示)第2章 第9節 体育 第1 目標【原文】
この一文には、公正も協力も出てきません。それらは解説のほうに書いてあります。「運動に親しむ」の説明です。
運動に親しむとは,それぞれの運動が有する特性や魅力に応じて,その楽しさや喜びを味わうとともに,公正に取り組む,互いに協力する,自己の役割を果たす,仲間の考えや取組を認める,安全に留意するなどの態度を育むことを示している。
小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 体育編 p.22【原文】
もう一つ、学年の目標の解説には、この態度が何であるかを言い切っている一文があります。
(3) は,「学びに向かう力,人間性等」に関する目標であり,運動やスポーツの価値である,公正,協力,責任,参画,共生,健康・安全等に関する態度及び意欲的に運動をする態度を養うことを意図している。特に,運動をする際の良好な人間関係が運動の楽しさや喜びに大きな影響を与えることや,友達と共に進んで意思決定に関わることが,運動やスポーツの意義や価値等を知ることにつながることを踏まえたものである。
小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 体育編 p.69(第3学年及び第4学年の目標)【原文】
ひとこと:態度は「運動やスポーツの価値」と呼ばれている
現行の「態度」は、目標の三つ目、「学びに向かう力,人間性等」の中に置かれています【原文】。そして解説は、公正・協力・責任・参画・共生・健康・安全を「運動やスポーツの価値である」と呼んでいます。理由も添えられていて、「運動をする際の良好な人間関係が運動の楽しさや喜びに大きな影響を与える」からだ、と書いています【原文】。中学年の「きまりを守り誰とでも仲よく運動をし」の解説も、これを「スポーツの価値の実現に関する態度の育成」と言い換えています(p.70【原文】)。
(ここからは私の解釈です)私が目を留めるのは、この「価値」という語です。現行の書き方では、順番を守る、仲よくする、協力するといった態度は、学級経営上の約束ではなく、運動やスポーツそのものがもつ価値として位置づけられています。その価値を実現できるかどうかが、運動の楽しさを左右する、という論理です。だから態度は、技能や思考と並ぶ三本目の柱に、独立した目標として置かれている。「態度が身に付いていること」は、前回の改訂の成果としても挙げられています(p.6【原文】)。この構えを押さえておかないと、次回読む取りまとめ(案)が何を動かそうとしているのかが見えません。

態度って、結局しつけの話じゃないんですか。

解説はそう書いていません。公正や協力を「運動やスポーツの価値」と呼び、良好な人間関係が楽しさに影響する、と理由を添えています【原文】。しつけではなく、運動を楽しむための条件として書かれている、と私は読んでいます。ただ、現場でしつけとして運用されてきた面があることも、否定はしません。
読者への問い
明日の授業で、あなたが「順番を守って」「誰とでも仲よく」と声をかけるとき、それは運動を楽しむための条件として伝わっているでしょうか。それとも、学級の約束として伝わっているでしょうか。子どもはどちらで受け取っているでしょうか。これが正しいというのはありません。その是非について、あなたなりの意見を持つことが大事だと思います。
次回の一節 #006 では、この態度の要素が、取りまとめ(案)でどこへ移されようとしているかを読みます。
出典
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」第2章 第9節 体育 第1 目標
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 体育編」p.6, p.22, p.69, p.70 https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/03/18/1387017_010.pdf


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