教育ニュースまとめ 2026年9月7日|数学テストに電卓・アプリ容認へ、地域教員希望枠は12大学

教育時事

数学の定期テストや学力調査で、電卓やアプリの使用を認める問題を導入する。日本学術会議が9月4日に公表した見解は、そこまで踏み込んだ。今日はこの見解に加えて、「地域教員希望枠」を活用した教員養成の機能強化事業で12大学が採択されたこと、学校ICT実態調査で教員のICT活用指導力が上昇したという速報値を取り上げる。いずれも国内の話題で、「何のための学力か」「誰が、どの基準で選ばれるのか」「数字をどう読むか」という問いに通じている。

日本学術会議、算数・数学教育の改善へ見解…定期テストや学力調査でも電卓・アプリ使用を認める問題の導入を提言

日本学術会議は9月4日、見解「初等中等教育における算数・数学教育の改善について」を公表した。TIMSS2023などの国際調査で日本の児童生徒の成績は世界トップ水準にある一方、理数系科目を得意とする割合は減少傾向にあり、学校段階が上がるほど「公式や解法の暗記、計算手続きの習熟」に偏りがちだと指摘している。電卓や表計算ソフト、数学アプリを計算の代行ではなく「思考ツール」として授業に位置づけ、授業では使わせながらテストでは禁じるという矛盾を解消するため、全国学力・学習状況調査や定期考査でも目的に応じて使用を認める問題を導入するよう求めた。高校については「数学I」の標準単位数を3から4に増やし、文系進学者にも「場合の数と確率」「統計的推測」などの学習機会を確保することや、教職課程・教員研修でジェンダー・ダイバーシティの視点を扱うことも提案している。

出典:ReseEd「数学の定期テストで電卓・アプリ使用も…日本学術会議」(2026年9月7日)

筆者コメント

学力調査の「出口」、すなわち身につけた数学の力がその後どこへつながっているのかを確認しなければ、過去の論議の繰り返しになるだけである。そもそも何のための数学能力なのか。国民全員を理数系の研究者にするわけではないだろう。適していない者に適していない教育を受けさせても、自己肯定感が下がるばかりで、よいことは何もない。理数教育の強化を掲げて教育課程を書き換えるという構図は、かつてのスプートニク・ショックを受けた学習指導要領改訂の焼き直しではないかとさえ思える。誰のための、何のための数学かという問いを抜きにして、単位数やツールの議論だけを進めるべきではない。

学校ICT実態調査(速報値)、教員のICT活用指導力は4項目すべてで上昇…都道府県別1位は愛媛県、2位は茨城県

文部科学省は2025年度「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」の速報値を公表した。児童生徒1人あたりの学習者用コンピュータは平均1.1台を維持し、普通教室のインターネット接続率は99.4%、統合型校務支援システムの整備率は97.2%で、9都県が100%に達した一方、最下位の青森県は65.0%にとどまる。教員のICT活用指導力は「授業にICTを活用して指導する能力」83.4%、「児童生徒のICT活用を指導する能力」84.0%など4項目すべてで前年度から上昇し、都道府県別ではいずれも愛媛県が1位、茨城県が2位だった。指導力に関する研修の受講率は平均71.0%で、岐阜県98.1%から青森県53.2%まで開きがある。なお、指導力は教員の自己評価にもとづくチェックリストで測られている。

出典:ReseEd「学校ICT実態調査、教員の活用指導力は上昇…1位は愛媛県」(2026年9月4日)

筆者コメント

こうした調査で順位を出す必要はない。毎回、同じような都道府県が上位に来る傾向があるが、それは教員一人ひとりの指導力が本当に高いというよりも、その県の教育委員会の中央集権的な統制が強く、調査への回答や研修の受講が一律に行き渡っているということではないか。数値は自己評価にもとづくものであり、順位の変動より、その数字がどのような仕組みで生み出されているかを読むべきである。

「地域教員希望枠」を活用した教員養成の機能強化事業に12大学を採択…私立の田園調布学園大・玉川大が初選定

文部科学省は2026年度、「地域教員希望枠」を活用した教員養成大学・学部の機能強化事業で12大学を採択した。福島大学など国立10大学に加え、初めて私立の田園調布学園大学と玉川大学が選ばれた。同事業は入試に地域教員希望枠を設け、離島・へき地、特別支援教育、不登校といった地域の教育課題に対応するカリキュラムや、教育DX・心理・福祉に強みをもつ教員の養成から採用までを、大学と教育委員会が一貫して進めるもので、単独大学で970万円、複数大学の連携で1,700万円を上限に国が定額を支援する。福島大学は来年度の学士課程再編で教育学部を設置し、双葉8町村や奥会津5町村での教育実習を計画している。玉川大学は神奈川県教委と連携し、1年次からの学校体験活動や模擬授業の生成AI解析に取り組む。

出典:日本教育新聞「地域教員希望枠に12大学」(2026年9月4日)

筆者コメント

こうした事業の選定基準は、いったい何なのだろうか。採択の根拠が外から見えにくいまま国の支援が配られていくと、政治との癒着に近い構図が生まれかねない。その結果として、本来は存続すべきでない大学が、事業の看板によって存続してしまうことにもなりかねない。教員養成の質を高めるという目的は正しいとしても、誰が、どの基準で選ばれたのかを検証できる形にしておく必要がある。

本記事の要約は各出典記事の内容にもとづき、筆者が要点を整理したものです。

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