教育ニュースまとめ 2026年9月22日|米小学校の休み時間は36.8分から20〜30分に、蟹江町は全7校に日本語教材

教育時事

今日は、削られやすいものの話が続く。

2026年9月22日の教育ニュースから、気になった6件を取り上げる。国内は、中教審教員養成部会が社会人等の入職などを議題に第163回会合を開くという告知と、愛知県蟹江町が全小中学校に日本語学習ICT教材を導入したというニュースの2件。海外は、OECDが職業技術教育訓練(TVET)データの比較可能性をめぐる政策ブリーフを公表したこと、米国の高校「教員養成アカデミー」の効果と限界を示した研究、英国ロンドンで子どもの権利を教える学校の帰属感が高いとする評価研究、そして米国の小学校で休み時間が削られ続けている現状を報じた記事の4件である。

国内の教育ニュース

中教審教員養成部会(第163回)を9月30日に開催…認定講習、高校改革への対応、社会人等の入職を議題に

文部科学省は9月18日、中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会の第163回会合を9月30日に対面・WEB併用で開催すると公表した。議題は、認定講習等について、高校改革への対応について、社会人等の入職について、2026年度の教職課程認定に関する審査(非公開)などである。同部会は9月17日に、教員養成・採用・研修制度の抜本的な見直しを示す「審議のまとめ(→9月18日の回)」を公表したばかりであり、今回の会合は免許制度の再編や多様な人材の参入促進を具体化していく議論の第一歩と位置づけられる。会議はWEB配信で公開され、配布資料は会議開始までに同省ホームページに掲載される予定である。

出典:文部科学省(2026年9月18日)該当ページ

筆者コメント

社会人等の入職が議題に挙がっているのは、教員の成り手の裾野を広げるということだろう。教員不足の現状を考えれば仕方のない面もあるが、大学で免許を取得することの必要性は相対的に減じていくことになる。他方で、日本語指導と同じように、各分野の専門性を発揮できる別枠を設けるという発想そのものは面白いと思う。ただし、最もいけないのは、高度な知識を持っている人ならばそれを簡単に伝えられるだろうと考え、教えることの専門性を軽視することである。プロ野球選手が学校体育に来たところで、運動指導という観点でできることはほとんどない。象徴的な存在に触れるという動機付けには効果があるが、それは一時的なものにとどまる。参入の門を広げるのであれば、教えることの専門性をどう保証するかを同時に問わなければならない。

愛知県蟹江町、町立小中学校全7校に日本語学習ICT教材「すらら にほんご」を導入…日本語指導が必要な児童生徒約80人が利用開始

すららネットは9月15日、日本語学習ICT教材「すらら にほんご」を愛知県蟹江町が導入したと発表した。町立小中学校全7校で9月1日から運用を始め、外国にルーツをもち日本語指導が必要な児童生徒約80人が利用している。文部科学省の調査では、公立学校に在籍する日本語指導が必要な児童生徒は2025年に8万4,759人と過去最多で、愛知県は1万3,684人と全国の約19%を占める。蟹江町の外国人住民は2018年の1,482人から2025年には2,188人へ約48%増え、町人口に占める割合も約6%に上昇していた。教材は学習者のレベルに応じて基礎から段階的に学べ、母語で意味を確認しながら一人でも進められる構成で、書写機能やゲーミフィケーションの要素も備える。町教委は、個別最適な学びの実現とともに、教員が一人ひとりの状況を把握しながら子どもに向き合う時間を生み出すことに期待を示している。

出典:こどもとIT(2026年9月17日)該当記事

筆者コメント

こうした取り組みは必要である。しかし、ICT教材のみの支援では全く足りない。日本語をほとんど話せない状態で就学する子どもに向き合うには、人材を投入し、時間割を柔軟に組めるようにすることが不可欠である。教材は学びの入口を開くが、教室で子どもと向き合い、教科の学習と生活の両面を支えるのは人である。また、日本語指導が必要な児童生徒が過去最多を更新し続けている以上、今後、日本語指導を担う人材には確実に需要が生じる。資格や養成・研修を担う機関など、制度の整備を早急に進めてほしいと思う。需要が見えているのに制度が追いつかないままでは、現場の善意と負担に頼る構図が繰り返されることになる。

海外の教育ニュース

【OECD】政策ブリーフ「比較可能なTVET(職業技術教育訓練)データを政策形成に活かす」を公表…「Global TVET Data Report」プロジェクトの一環

OECDは9月21日、14ページの政策ブリーフ「Making comparable TVET data work for evidence-informed policymaking」を公表した。各国の職業技術教育訓練(TVET)に関するデータの比較可能性を高め、エビデンスに基づく政策形成につなげることを狙いとしている。このブリーフは、OECDが各国・国際機関・専門家と協働で進める「Global TVET Data Report」プロジェクトの一環で、同プロジェクトはTVETデータと指標の入手可能性・比較可能性・政策関連性を高め、世界のTVETシステム強化を支援することを目的とする。OECDは、デジタル化やAI、人口動態の変化、グリーン移行によって経済と労働市場が急速に変わるなか、職業教育の実態を国際的に把握する必要性が一層高まっていると位置づけている。

出典:OECD(2026年9月21日)該当ページ

筆者コメント

これも興味深い動きである。OECDがTVETのデータを国際的に比較可能なものにしようとしていること自体が、職業教育を各国の教育政策の中心的な課題として扱おうとする姿勢の表れだろう。一方、日本では職業訓練が教育の周辺に置かれているような感覚がある。高校や高専の職業教育、さらに学校卒業後の職業訓練が、普通教育や大学進学と比べてどの程度の重みで語られてきたかを振り返ると、その感覚はあながち外れていないように思う。しかし、実際のところはどうなのだろうか。国際比較の枠組みが整えば、日本の職業教育が他国と比べてどこに位置しているのかを、感覚ではなくデータで確かめられるようになる。その意味でも注視したい。

【米国】高校の「教員養成アカデミー」は機能するが、進学段階でパイプラインが途切れる…テキサス州150万人追跡、履修者の教職就任率は白人13.3%・黒人4.9%・ヒスパニック5.5%

Education Weekは9月21日、高校段階で教職関連科目を提供する「教員養成アカデミー」の効果を検証したテキサス州の新研究を報じた。オールドドミニオン大学のダニエル・エドワーズ氏とブラウン大学のマシュー・クラフト氏が、2004〜2011年度に9年生になった150万人超(教職科目履修者約7万人)を追跡したものである。高校で教職科目を履修した生徒は、そうでない生徒に比べて教員になる確率が4倍高かったが、実際に教員になったのは10人に1人未満だった。履修者のうち白人は13.3%が教員になった一方、黒人は4.9%、ヒスパニックは5.5%と2倍以上の差があり、地域の教員集団の多様化には結びついていなかった。背景には、黒人・ヒスパニックの履修者の約70%が4年制公立大学に進学していないことがある。一方で、アカデミー経由で教員になった人は他の新任教員と同等の効果を示し、3年以内の離職率は2割未満と定着率が高かった。研究者は、学費や免許取得までの資金計画の支援、大学との二重単位、早期の実習経験、採用時の優遇など、高校から採用までを一貫して設計する必要性を指摘している。

出典:Education Week「High School Teacher Academies Work. But There’s a Break in the Pipeline」(2026年9月21日)

筆者コメント

高校段階で教職に関わる科目を早期に履修させるということなのだろう。教員養成を高校から始めるという発想には、教員の確保という目的が前面に出ているが、私はむしろ別の見方をしたい。人に何かを指導する仕事は、学校の教員に限らず社会に多く存在する。スポーツの指導者、地域クラブのコーチ、企業での人材育成など、教えるという営みを含む職業は幅広い。そうした仕事の共通基盤として「教える」ことの基礎を学ぶ科目であるならば、教員になるかどうかにかかわらず面白いと思う。教職に直結させるだけでなく、指導という営みそのものを学ぶ入口として設計されれば、パイプラインの途切れという問題の見え方も変わってくるのではないか。

【英国】子どもの権利を教える「Rights Respecting Schools」参加校で帰属感が向上…ロンドン709校の評価研究、ゴールド校の生徒70%が「学校に居場所がある」

Schools Weekは9月21日、子どもの権利を明示的に教える国連系の「Rights Respecting Schools Award」に参加するロンドンの学校で、生徒の帰属感や安全感が高いとする評価研究を報じた。ロンドン市長の暴力削減ユニット(VRU)が2024年2月から参加を支援しており、現在32区すべてで709校(約20%)が登録している。VRUとストラスクライド大学による研究は2025年3月〜2026年2月に生徒1,726人・教員236人を調査した。最上位「ゴールド」校では70%の生徒が「学校に居場所がある」と答えたのに対し、入門段階の「エントリー」校では56%だった。「学校が安全」はゴールド75%対エントリー59%、「先生が自分を大切にしてくれる」はシルバー以上70%対エントリー54%と差が出た。英国政府は今年の学校白書で、2029年までにすべての学校が生徒の帰属感とエンゲージメントを継続的に把握することを求めており、帰属感を学力とともに政策の中心に据える流れが強まっている。

出典:Schools Week(2026年9月21日)該当記事

筆者コメント

参加校全体で帰属感が高いという結果は分かったが、私が興味をもつのは、どのような属性の子どもに効果があったのかという点である。帰属感の平均値が上がったとしても、もともと学校に居場所を感じやすい子どもが押し上げているのか、それとも居場所を感じにくかった子どもの側に変化が起きているのかで、この取り組みの意味は大きく異なる。子どもの権利を教えるという方法は、権利を侵害されやすい立場にある子どもにこそ届いてほしいものである。属性別の分析が示されれば、この実践が格差を縮める方向に働いているのかを判断できる。

【米国】「休み時間を削っても学力は上がらない」…小学校の休み時間は2001年の1日36.8分から20〜30分に減少、低所得地域で特に短く、州法で40分を義務化する動きも

Education Weekは9月21日、米国の小学校で休み時間(recess)が削られ続けている現状と、それに対する研究者・保護者の異論を報じた。発達心理学者のスーザン・エンゲル氏は全国29の幼稚園年長クラスを観察し、遊びのコーナーが減り読み指導に偏るなかで、子どもたちが休み時間になると爆発するように遊ぶ様子を記している。全米の小学生の休み時間は2001〜02年度に平均1日36.8分だったが、2025年には20〜30分に減った。標準テストの成績向上を迫られる低所得地域ほど短くなる傾向があり、カリフォルニア州の高貧困校を対象とした研究では、米国小児科学会が推奨する1日20分超を確保していた学校は56%にとどまった。テンプル大学のキャシー・ハーシュ=パセック氏は、指導時間を増やし続けても読解・算数の成果が上がっていない現状を指摘し、休み時間を削る発想そのものを疑問視する。保護者団体「Say Yes to Recess」は24支部に拡大し、罰として奪えない60分の非構造的な遊び時間を求めている。テネシー州は2025年に小学校の休み時間を15分から40分へ、オクラホマ州は今年度から20分から40分へ延長する法律を成立させた。

出典:Education Week(2026年9月21日)該当記事

筆者コメント

これは示唆深い記事である。休み時間を削って指導時間を増やしても学力は上がらないという指摘は、体育科教育学の立場からも重く受け止めたい。子どもは身体を動かすことを通して考え、学級では得られない他者との言葉のやりとりを休み時間に経験している。しかも休み時間が短いのは低所得地域の学校であり、身体活動の機会の不平等が学力格差と重なって現れている。休み時間の長さが2001年から2025年までの間に1日36.8分から20〜30分へと減ったという経年データ、州法で40分を義務化した事例、罰として休み時間を取り上げることへの批判は、いずれも我が国にとっても事例的なデータとして使える。日本の学校でも授業時数の確保が優先され、休み時間や身体活動の時間は後回しにされやすい。米国の経験を参照しながら、子どもの身体活動の時間を学びの一部として守る議論を進めたい。

上のコメントの「日本の学校でも授業時数の確保が優先され」について:2026年9月14日の教育ニュースまとめ(調整授業時数と裁量的な時間)で扱っています。

本記事の要約は各出典記事の内容にもとづき、筆者が要点を整理したものです。

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