今日は、遊びと体づくりの話が続く。
2026年10月の教育ニュースから、3件を取り上げる。国内は、自民党の研究会名義で「立腰・体幹教育」の推進を求める要望書が内閣府に提出された件。海外は、米国で遊びを基盤とする学びが見直されているという報道と、就学前教育に何が必要かを専門家3人に聞いた記事の2件である。いずれも、小学校低学年までの学びをどう組むかという論点でつながっている。
国内の教育ニュース
立腰・体幹教育の推進へ要望書、子供の体力向上目指す
「マナーキッズプロジェクト」が、自民党「立腰・体幹教育研究会」名義で、内閣府の黄川田仁志大臣に要望書を提出した。デジタル機器の普及や外遊び環境の変化にともなう子供の運動能力低下・外遊び時間の減少を課題とし、腰骨を立てる「立腰」の実践による体幹強化と姿勢改善を提案している。地方創生応援税制を活用した「0歳から100歳までの立腰・体幹遊び」の全国展開を通じて、体力向上に加え、いじめや不登校の改善も目標に掲げている。
出典:ReseEd「立腰・体幹教育の推進へ要望書、子供の体力向上目指す」(2026年9月25日)
筆者コメント
体育科教育学の立場から見ても、姿勢や体幹づくりの指導は既に長年にわたり研究会や実践者が自律的に取り組んできた領域であり、こうした意義付けも含めトップダウン式の施策は意味をなさないことが多い。なぜ新たに研究会を立ち上げる必要があるのかは、要望書からは読み取れない。資金を投じるならば既存の研究分野に直接充てればよく、こうした中間組織の新設自体が目的化しているおそれがある。税金は、組織の維持ではなく、既にある研究と実践の側に届いてほしいと考える。
海外の教育ニュース
【米国】遊びを通じた学びが、幼児期の算数・リテラシーを支える
Education Weekは、2000〜2010年代に幼稚園で減った遊びの時間が見直され、遊びを基盤とする学びが復活しつつあると報じた。州によっては、初等教育初期の遊びを義務づけたり保護したりする法律も成立している。ノースカロライナ州の小学校の例として、果物や野菜を使って10まで数える遊びを通じて算数と読み書きの力を育てている実践が紹介されている(一校の実践である)。
出典:Education Week「How Play-Based Learning Helps Children Practice Math and Literacy Skills」(2026年10月7日)
筆者コメント
子どもは大人に比べて言語能力が十分でないため、言葉から知識を得ることは難しい。一方で、経験の中から学び取る力は非常に大きい。遊び、つまりものに触れて経験することを通して、子どもは数、距離、重さ、奥行きや空間、時間、タイミングといった概念を身につけている。子どもは大人が言葉にできる以上のものを吸収しており、その点でこの記事は興味深い。また、これは体育の価値の再評価にもつながる話である。今後は、競技スポーツや、エンターテインメントとして消費される盛り上がりではなく、「遊ばせる技術」が求められるのかもしれない。
上のコメントの「遊ばせる技術」について:次期学習指導要領の審議まとめは、小学校1年から4年までを「各種の運動の基礎を培う時期」として整理し、この段階の学習を「運動遊び」で通す方向を示しています。態度の在り処|審議まとめの体育で、領域名の図とあわせて扱っています。
【米国】幼児は就学前教育で何を必要とするか、専門家3人が語る
Education Weekが、就学前教育の目的について幼児教育の専門家3人に聞いた。ヴァンダービルト大学のデール・ファラン氏は、子どもには自己調整を育む機会と活動が必要だと述べた。シンシナティ・プリスクール・プロミスのブリトニー・ピナ氏と教師のダレル・ターナー氏は、遊びを通した学びで学力と社会性・情動のバランスを取ることを強調した。厳格なカリキュラムや過度な詰め込みは裏目に出うるとされ、ファラン氏は高学力志向の詰め込み型プレKが教室での問題行動の増加と関連すると指摘している。
出典:Education Week「What Do Young Kids Really Need From Preschool? Experts Weigh In」(2026年10月)
筆者コメント
早期の詰め込み型教育は、歴史的に繰り返され、いつも同様の課題に行き着く。テクノロジーが進歩しても、生物としてのハードウェアは変わらない。詰め込みは、擦り切れやバーンアウト、ストレス増加による問題行動や心理的トラウマをもたらしかねない。この専門家3人の見方に同意する。
本記事の要約は各出典記事の内容にもとづいて作成しています。引用部分は原文の表記に従い、評価にあたる部分は筆者コメントとして分けています。


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