次期学習指導要領の要である「調整授業時数」を、現場はまず何に使うのか。サキドリ研究校332校への意向調査で、小中学校とも8〜9割が「裁量的な時間」に充てると答え、約半数が1コマの短縮を予定していることが分かった。制度の具体像が初めて数字で見えた日である。海外からは、マイクロソフトが米国教員連盟のAI生徒データ保護基準に法的拘束力のある形で合意したニュースを並べる。
国内の教育ニュース
サキドリ研究校332校、調整授業時数の使い道は「裁量的な時間」が8〜9割──まずは月1コマ減から
教育課程の柔軟化に先行して取り組む全国332校のサキドリ研究校への意向調査で、小中学校とも8〜9割が、創出した「調整授業時数」を児童生徒の教育活動や教員研修などの裁量的な時間に充てる方針を示した。約半数の学校は1コマの単位時間の短縮を予定している。記事が紹介する鎌倉市立腰越中学校は50分授業を維持したまま、1・2年生の国語・社会・数学・理科・英語・保健体育から年間約8%(計62時間)を削り、対象教科でそれぞれ月1時間程度、年間10時間ほどを減らす。次期指導要領で導入される調整授業時数制度の、現場レベルでの具体像が見えてきた。
出典:教育新聞(2026年9月10日)
筆者コメント
調整授業時数は今回の改訂の要点であり、その使い道が具体的に見えてきたことは大変興味深い。意向調査を見る限り、まずは授業のコマ数や単位時間を減らして時間のゆとりを生み出す、という取り組みが多いのかなという印象である。制度の初年度としては自然な入り方だろう。問われるのはその先で、生み出された時間が児童生徒の教育活動や教員研修といった「裁量的な時間」としてどう使われ、そこからどのような実践が派生していくのかである。ゆとりを作ることが目的ではなく、その時間で何が起きるかが本題であり、今後も見ていきたい。
海外の教育ニュース
【米国】マイクロソフトが教員組合の「AI生徒データ保護基準」に法的拘束力ある形で合意──大手AI企業で初
マイクロソフトは、米国教員連盟(AFT)が設立した「National Academy for AI Instruction」と30ページの覚書を交わし、学校向けAI製品のライセンスに法的拘束力のあるプライバシー・監督基準を適用することに、大手AI開発企業として初めて合意した。基準は11月1日から既存契約にも適用され、生徒・教員のデータをAIモデルの訓練に使わないこと、第三者ベンダーを含む全データの暗号化、人間関係を模した「AIコンパニオン」の禁止、72時間以内の侵害報告などを定める。AFTはAnthropic、OpenAIとも交渉中で、業界標準化と連邦・州レベルの法制化を目指している。匿名化したデータでも再識別されうるという研究の蓄積が、規制の必要性を裏づける論点として紹介されている。
出典:Education Week(2026年9月9日)
筆者コメント
AIが教育の場に入ってくることは、もはや避けようのないことである。だからこそ、生徒や教員のデータをどう扱うかについて、法的拘束力を持つ基準を企業に守らせるという今回のような取り組みは、最低限必要なものだろう。データを訓練に使わない、侵害があれば期限内に報告するといった内容は、本来なら約束するまでもない前提のはずである。マイクロソフトが大手として初めて合意した意味は大きいが、一社の話で終わらせてはならない。他の国、他の企業もこれに倣い、まず生徒の保護をどう確保するかを考えることが必要である。
本記事の要約は各出典記事の内容にもとづき、筆者が要点を整理したものです。


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