教育ニュースまとめ 2026年9月23日|体育は小4まで「運動遊び」、体験ゼロは年収で2.8倍

教育時事

今日は、支える側の話が続く。

2026年9月23日の教育ニュースから、気になった6件を取り上げる。国内は、次期学習指導要領で体育・保健体育がどう変わるかを整理した記事、横浜市が教員志望の学生にチーム担任制の良さを伝えている取り組み、そして世帯年収による子どもの体験格差を示したチャンス・フォー・チルドレンの調査の3件。海外は、英国で学校のAI対応の抜本的な見直しを求めた報告書と、14〜16歳向け職業資格の普及を阻む「構造的障壁」を指摘したレビューの中間報告、米国CDCの若者リスク行動調査で高校生の心の健康に改善の兆しが見えたというニュースの3件である。

国内の教育ニュース

次期学習指導要領の体育・保健体育、小4までを「運動遊び」として拡大…「態度」の評価を再整理し、求める技能水準も見直し

教育新聞は9月21日、中教審教育課程部会の体育・保健体育、健康、安全ワーキンググループの取りまとめ案をもとに、次期学習指導要領(→9月14日の回)で体育・保健体育がどう変わるかを図解で整理した。主なポイントとして、「態度」の評価の再整理、小学4年生までの「運動遊び」の拡大、求める技能水準の見直しが挙げられている。同WGは6月の骨子案の段階から、「態度」の指導・評価の見直しや、児童生徒の「楽しい」を引き出す学びへの転換、小・中・高12年間を見通した目標・内容の系統性の再構築を打ち出していた。

出典:教育新聞「【徹底図解】3分で分かる新学習指導要領どう変わる? 体育・保体」(2026年9月21日)

筆者コメント

これは大きな改訂である。技能水準の見直しが盛り込まれた背景には、体育に技能習得が過剰に求められていることが問題視されていたという事情があるのだろうか。確かに、中学校から高校にかけて、体育の授業で扱うレベルを超えた技能の例示がなされていることには以前から気づいていた。技能水準の見直しがどこまで進むのかも気になるが、個人的に最も注目したいのは「態度」の評価の再整理である。

横浜市、教員と教員志望の学生が語り合う場で「チーム担任制」の良さを発信…学生が企画・運営した「ミライの先生Fes」

日本教育新聞(9月21日付)は、横浜市が教員と教員志望の学生の交流を通じてチーム担任制の良さを伝えていると報じた。横浜市教委は9月4日、学生と現職教員がこれからの教育や教職の魅力を共に考えるイベント「ミライの先生Fes」を開催し、教員を目指す大学生らが中心となって企画・運営に携わった。会場では「チーム担任制」や「横浜型スタートアップモデル」をテーマにしたセッションが行われた。同市は2026年度から市立全小学校でチーム担任制を導入しており、教育実習生からは、初任者の隣にサポート役の教員がいる体制を見て「自分もやれるかもしれない」と感じたという声が紹介されている。

出典:日本教育新聞(2026年9月21日)該当記事

筆者コメント

初任者にいきなり担任を持たせるのは、本当によくない。たとえその学級経営が上手くいったと本人が思えるものであったとしても、一人で抱え込む構造のなかでは省察が生まれにくく、教室は次第に閉鎖的になっていく。支援的な風土を形成するという面から見ても、誰かが自分を支えてくれているという構造そのものに意味がある。チーム担任制の意義は、まさにこの点にあると考える。

年収300万円未満世帯の小学生の約4人に1人が1年間「体験ゼロ」、年収600万円以上の2.8倍…物価高で低所得層ほど教育支出を削減(CFC調査)

公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン(CFC)の「2026年 子どもの教育機会に関する実態調査」(全国の小1〜高3の保護者7,374人)によると、年収300万円未満の世帯の小学生で、直近1年間にスポーツ・文化芸術の習い事やキャンプ、地域の祭りなどの体験活動に一度も参加しなかった割合は24.8%で、年収600万円以上の世帯(8.8%)の2.8倍だった。体験活動に参加した世帯の年間支出の中央値は3万円対11万円、中3の塾・家庭教師など学校外学習への参加率も36.8%対70.9%と差が大きい。物価高で教育支出を減らした世帯の割合は低所得層ほど高く、子どもの現実的な進路を「大学以上」とみる割合も40.7%対75.2%と約2倍の開きがあった。

出典:こどもとIT(2026年8月27日)該当記事

筆者コメント

全体的に物価が高騰している以上、低所得の世帯ほど体験活動や学校外の学習への支出を削らざるを得ないのは、当然の結果ではある。気になるのは、体験の機会を得られない子どもたちが、その時間をどのように過ごしているのかという点である。ずっとゲームなどをして過ごしているのだろうか。所得の低い層ほど中毒性の高いテクノロジーに依存する傾向があるという記事も、以前に目にした。体験の格差は、余暇の時間の過ごし方の違いとしても現れているのかもしれない。

海外の教育ニュース

【英国】「AIのない世界に向けた教育を続けている」…報告書がDfE内にAIの「緊急対応ユニット」設置を提言、AI戦略の弱い学校はOfsted評価を下げるべきとも

アンソニー・セルドン氏らがPublic First向けにまとめた報告書は、11〜24歳の4,000人超への調査で87%がAIツールの使用経験を持ち、中等学校の生徒の63%が宿題にAIを使っている一方、学校や大学が将来に向けて「非常によく」準備してくれていると答えたのは1割未満だったと指摘した。報告書は、外部専門家が率いる「ラピッド・レスポンス・ユニット」を11月1日から教育省(DfE)内に設け、AI導入の枠組みを策定すべきだと提言。全校に2027年9月までに理事会承認のAI戦略の策定を求め、Ofstedが査察で評価し、戦略の弱い学校は評価を下げるべきだとした。AIが代替できない「人間的な能力」を測る「2レーン」型の評価への試験改革も提案している。

出典:Schools Week「AI Taskforce needed in Department for Education, says report」(2026年9月22日)

筆者コメント

報告書は学校に「AI戦略」を求めているが、そもそもAI戦略とは何だろうか。規制を指すのか、それとも促進を指すのか。結局のところ、AIを使って何がしたいのかという意思決定がなければ、テクノロジーには意味が与えられない。戦略の有無で学校を評価する前に、まず問われるべきはその目的である。そういう意味では、日本が次期学習指導要領の改訂で、学びの方向性を「自らの人生の舵を取る力」と定めたことは素晴らしいと思った。

【英国】14〜16歳向け職業資格の普及を阻むのは「構造的障壁」…元教育相クラーク氏のレビュー中間報告、全面改編より人手・資源・情報不足の解消を

試験機関Cambridge OCRが元教育相チャールズ・クラーク氏を座長に進めるレビューの中間報告によると、14〜16歳向けの職業資格(→9月22日の回)「テクニカル・アワード」は教員・生徒・保護者から評価されている一方、認知度の低さや職員の人手不足、資源不足が普及を妨げている。技術系資格を十分理解している保護者は約40%で、GCSE(73%)を大きく下回った。教員の3分の1が職員の人手を最大の障壁に挙げ、資源不足(27%)、GCSEを優先する説明責任指標(26%)が続いた。政府は2028年から14歳向けの新たな技術系パスウェイを設ける方針で、クラーク氏は「生徒を『職業』と『学問』に分けるべきではない」と述べている。

出典:Schools Week「‘Structural barriers’ holding back vocational qualifications」(2026年9月22日)

筆者コメント

この記事を読んで、少し前にイーロン・マスク氏が今の社会を船に例えていたことを思い出した。船に10人が乗っていて、そのうち漕ぎ手になるのは3人だけであり、残りの7人はみんな指示を出す役をやりたがる。そして、船がうまく進まなかったときの責任は、その3人の漕ぎ手に押し付けられる、という比喩である。職業資格の普及が進まないという話題にも、実際に手を動かして社会を支える担い手をどう育て、どう遇するのかという問いが重なって見える。

【米国】CDC若者リスク行動調査2025、「持続的な悲しみ・絶望感」の高校生は約3人に1人で2023年の40%から改善…専門家は学校の精神保健補助金打ち切りの影響を懸念

米疾病対策センター(CDC)が9月21日に公表した2025年の若者リスク行動調査(高校生1万700人超)によると、過去1年間に持続的な悲しみや絶望感を経験した高校生は約3分の1で、2023年の40%から7ポイント、2021年の過去最高(42%)から約10ポイント低下した。心の健康状態が悪いと答えた割合も23%と、2021年・2023年の29%から改善し、すべての属性で改善がみられた。専門家は学校による精神保健専門職の配置など継続的な投資の成果とみる一方、トランプ政権による学校向け精神保健補助金の打ち切りで今後の改善が損なわれかねないと懸念している。

出典:Education Week「Teen Mental Health Is Improving, CDC Finds. Then Why Are Experts Still Concerned?」(2026年9月21日)

筆者コメント

改善の兆しが見えたとはいえ、若者の心の健康をここまで悪化させてきた要因は何だったのか。これは主にSNSの影響が大きかったりするのだろうか。数字の変化とSNSの利用環境の変化がどう関係しているのかは、知りたいところである。

本記事の要約は各出典記事の内容にもとづき、筆者が要点を整理したものです。

関連記事

コメント

タイトルとURLをコピーしました