教育ニュースまとめ 2026年9月15日|学校が楽しみな生徒48%、トラスト校は順位5位上昇、読みの流暢性は低下

教育時事

学校に行くのが毎日、あるいは大半の日に楽しみだと答えた米国の中高生は48%だった。その分かれ目にいるのは教師で、教える内容に熱意を持つ教師に出会えた生徒ほど、学校を楽しみにしている。今日はこのGallup調査に加えて、PISA2025を受けた文部科学大臣の対応方針と、英国のアカデミー・トラストをめぐる研究を取り上げる。

国内の教育ニュース

文科相、PISA2025を受け「読みの流暢性」低下に対応へ 紙の教科書中心の学習環境を基本とする方針も

文部科学省の松本洋平大臣は9月11日の記者会見で、9月8日に公表されたPISA2025の結果について見解を示した。読解力では「読みの流暢性」の正答率が低下した一方、比較的長い課題文から情報を検索・理解する問題は横ばいを維持し、「評価・熟考」の問題は正答率が上昇したとして、さらに精緻な分析を進めるとした。今後の対応として、言語能力の教科横断的な育成、国語科で文章内容を正確に捉える指導、メディアリテラシー・情報モラルの育成、自律的な学習習慣の形成に加え、「調整授業時数制度」の創設を挙げた。活字文化議員連盟からの要望書に対しては、紙を中心とした学習環境を基本としつつデジタルの特性が生きる場面で活用するとし、認知科学等の知見を踏まえて秋ごろまでに指針を取りまとめると述べた。

出典:ReseEd(2026年9月14日)

筆者コメント

途中で登場する議員連盟は、利害関係の強そうな人々の集まりに見える(組織票的な意味で、である)。彼らの発信はひとまず脇に置くとして、読みの流暢性には様々な要素が絡み合っているようだ。PISAについてかねて思うのは、異なる言語のあいだで読解力の評価を本当に統制できるのか、という点である。日本語は直接表現が少なく、文章のあらゆる要素、何なら行間にまで意味を付与していく言語であり、それゆえに読解に幅が出るということはないのだろうか。書籍であれば、解釈に幅が出るほうが評価されることさえある。こうした言語ごとの性質を人の手で統制できるというイメージが、どうしても湧いてこない。

海外の教育ニュース

【英国】アカデミー・トラスト加入校は学力の伸びが「大幅に大きい」 CSTの研究、ただし因果関係には「不確実性」

英国の学校トラスト連合(CST)は、2007〜2025年の教育省の成績データ(約12,400校)を分析し、アカデミー・トラストに加入した学校は地方当局管理校より生徒の学力向上が大幅に大きいとする研究を公表した。18年間で、アカデミーは順位を平均5位上昇させたのに対し、地方当局管理校は0.27位下降した。CSTは、全校がトラストに属していれば毎年16,000人多くの生徒がGCSEの英語・数学でグレード4以上を取得できたと推計し、政府の白書が示す全校トラスト化を後押しする結果だとしている。一方、独立評価を行ったクイーンズ大学ベルファストのMuijs教授は、知見は「明確で頑健」としつつも効果の大きさの特定は難しく、因果関係には「残余の不確実性」があると指摘した。効果は学力不振で強制的に転換したスポンサー主導型で大きく、自主転換型では小さかった。

出典:TES(2026年9月14日)

筆者コメント

主要な要因を細かく見ていくよりも、社会文化的な風土の形成が寄与しているという見方のほうがよいのだろうか。ただし、その変化を「どこが主導したのか」という問いの立て方によっては、この研究はコミュニティ研究に大きな示唆を与えるのではないだろうか。組織や個人の自律性が盛んに謳われる一方で、外部主導型であってもコミュニティの再生は可能なのか。スポンサー主導型で効果が大きかったという結果は、まさにその問いに触れている。この研究は、そうした知見につながりそうである。

【米国】学校を楽しみにしている生徒は48% Gallup調査、「エンゲージメントは教師から始まる」

GallupとWalton Family Foundationが5〜6月に中高生1,700人超を対象に行った全国代表調査で、学校に「毎日または大半の日に行くのが楽しみ」と答えた生徒は48%にとどまった。授業へのエンゲージメント、大人からの支援、帰属意識に関する12指標のうち、平均的な生徒が経験しているのは約8項目で、最もエンゲージした層は最も低い層に比べ、学校を楽しみにする確率が5倍以上高かった。Gallupの研究者は、生徒のエンゲージメントの公式は「教師から始まる」とし、教師自身が教える内容に熱意を持ち、生徒とつながることが鍵だと述べた。昨年の教師の大半が「教える内容に熱意があった」と答えた生徒は44%、「面白くしてくれた」は37%だった。

出典:Education Week(2026年9月8日)

筆者コメント

非常に示唆に富む記事である。教師が教える内容に熱意を持っていること、そして授業を面白くしようとしてくれていることが、子どもが学校を楽しみにすることにつながる。この知見は、教科指導に対する研究意欲を大いに促進してくれる。教師の熱意と授業の工夫という、教科教育の研究が長く向き合ってきた営みが、生徒のエンゲージメントという形で数字に表れたということだろう。これからも頑張ろうと思える結果である。

本記事の要約は各出典記事の内容にもとづき、筆者が要点を整理したものです。

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