教育ニュースまとめ 2026年8月29日|生成AI活用事例77選が無償公開、現職教員19名の知見

教育時事

現職教員19名が実際に手を動かした生成AIの活用事例77件が、無償で公開された。理念の段階から実装の段階へ移ったことを示す一日である。今日は国内4件、海外1件。AI活用事例集、学校向けAIメンタルケア、保護者対応のガイドライン、2027年度入試の面接必須化、そして米国の教員養成におけるAIの位置づけを取り上げる。

国内の教育ニュース

生成AI活用事例77選を無償公開、現職教員19名にヒアリング(ガイアックス)

ガイアックスが2026年8月28日、学校における生成AIの活用事例集を無償公開した。公立・私立を問わず小学校から高校までの現職教員19名へのヒアリングをもとに、77の事例を「誰の」「どのような課題を」「どのように解決するか」という共通フォーマットで整理したものである。特別な環境や有料ツールがなくても始められる使い方を中心に収録し、教科指導・校務分掌・担任の仕事といった場面別に構成されている。対象は学校の教職員および自治体・教育委員会の職員で、校内・庁内での共有や研修資料としての利用は自由とされている。

出典:ReseEd(リシード)生成AI活用事例77選を無償公開、現職教員19名にヒアリング…ガイアックス

筆者コメント

すでに現場で実装が試されている、という点がこの事例集の意味だと思う。生成AIをどう使うかという話は、これまで理念や可能性のレベルで語られることが多かったが、19名の教員が日々の業務のなかで実際に手を動かした結果が77事例として共有可能な形になった。こういう知見は、一人の教員や一つの学校のなかに閉じたままでは広がらない。だからこそ、こうした形で普及していけばよいと考えている。自分自身も内容を学び、研修の場で活かしていきたい。

ソフトバンク、学校向けAIメンタルケアサービス「メンタリ」提供開始

ソフトバンクが2026年8月27日、小学校・中学校・高等学校などを対象に、AIを活用して教師による児童生徒のこころのケアを支援するサービス「メンタリ」の提供を開始した。いじめなど学校生活に関するアンケートの作成・回収・分析を一元化し、自由記述を含む回答をAIが分析して、緊急性が高い相談内容を検知した場合は教師に速やかに通知する。児童生徒はGIGA端末からキャラクター「モフ」とのAIチャットで相談でき、このチャットは助言を行わず傾聴と内容整理に特化する設計になっている。一定期間は効果検証を目的として無償で提供される。

出典:ReseEd(リシード)ソフトバンク、学校向けAIメンタルケアサービス「メンタリ」提供開始

筆者コメント

これもAIである。ただ、実際に触れていないので、使い勝手や実際の効果について何とも言えないというのが正直なところだ。傾聴に特化した設計という説明を読むかぎり、考え方としては丁寧に組まれている印象を受けるが、それが現場でどう機能するかは別の話になる。気がかりなのは、子どものこころのケアという領域が市場原理にのまれてしまわないかという点である。無償提供の期間が終わったあと、何を基準に導入や継続が判断されるのか。そこが問われると思う。

文科省、「学校と保護者・地域住民等とのより良い関係構築のためのガイドライン」を作成

文部科学省が2026年8月28日、保護者等からの過剰な苦情や不当な要求への対応を念頭に置いたガイドラインを作成・公表した。厚生労働省が示したカスタマーハラスメント関連の指針(令和8年厚生労働省告示第51号)を踏まえたもので、学校向けの本体資料に加え、保護者・地域住民に協力を呼びかけるリーフレットも同時に公開されている。あわせて、自治体が行政として学校問題解決の支援体制を構築するための事例集や、教職員支援機構の動画教材へのリンクも整理された。学校における働き方改革の一環という位置づけである。

出典:文部科学省保護者等からの過剰な苦情や不当な要求への対応に関する取組について

筆者コメント

ガイドラインの効果というのは、どういう形で現れるものなのだろうか。文書が出たからといって、翌日から現場の対応が変わるわけではない。ただ、過去には、こうした唱導が短期的には目立たなくとも長期的には効いていたのではないか、という見方もある。だとすれば、今回のガイドラインについても、出したこと自体を成果とするのではなく、数年単位でどう浸透し、何が変わったのかを追いかける検証の価値はあると考えている。効果を測る枠組みまで含めて設計されているかどうかが気になるところだ。

【共通テスト2027】総合型選抜・学校推薦型選抜で原則面接を必須化

大学入試センターが、高校関係者向けに開催した「大学入学共通テスト説明協議会」のアーカイブ動画をWebサイトで公開している。このうち「大学入学者選抜の最新動向について」と題した動画では、2027年度(令和9年度)の大学入学者選抜実施要項におけるおもな変更点が説明され、総合型選抜・学校推薦型選抜において原則として面接を必須化することが示された。高校側の出願指導や面接指導の体制にも影響が及ぶ見通しである。同協議会では、科目選択やマークの誤り事例など受験実務上の留意点を扱った動画も公開されている。

出典:ReseEd(リシード)【共通テスト2027】総合型・推薦で原則面接を必須化…説明協議会アーカイブ動画

筆者コメント

受験の易化は止まらない。楽をして安定したいと考える学生・保護者の側と、少子化のなかで生き残りをかけて受験者をとにかく増やしたい、減らしたくないという大学あるいは高校の側と、互いのニーズが噛み合ってしまっている。その先にある未来はどこに向かうのか。学力観はもはや変質していると言わざるをえない。ただ一方で、いわゆるいい大学に行くと、ちゃんと議論ができたり、自分の学びを自分で構築できたりする若者にたくさん会う。持つ者と持たざる者の格差は開いていく。そしてそれは知識から始まるのだと、肌感覚では思っている。

海外の教育ニュース

教員養成にAIをどう組み込むか-AACTEが新フレームワークを公表(米国)

全米の500を超える大学の教員養成プログラムが加盟する米国教員養成大学協会(AACTE)が2026年8月26日、教員養成課程におけるAIの扱いを示す新たなフレームワークを公表した。倫理・政策(AIリテラシーと公平なアクセス)、実践・実装(AIを用いた生徒の成果物の評価)、認知面の課題(バイアスやハルシネーション、AI利用が生徒の批判的思考に及ぼす影響)、専門職としての判断力の4領域について、養成段階での明示的な指導を求めている。また、倫理的・文化的な理由でAIの使用を望まない教員志望者が、AIを使わなくても教員免許を取得できるようにすべきだとも提言している。

出典:Education WeekHow Should AI Shape Teacher Education?

筆者コメント

こぞって各国がAIに関する扱いを調査・研究している、という段階にあると感じる。今回のAACTEのフレームワークも、日本で進む生成AIのガイドライン整備や事例収集と、時期としても問題意識としても重なっている。教員養成の段階で何をどこまで扱うのかという問いは、どの国でもまだ答えが出ていない。だからこそ、国ごとの検討の中身を並べて見ておく意味はあると考えている。

本記事の要約は各出典記事の内容にもとづき、筆者が要点を整理したものです。

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