教育ニュースまとめ 2026年9月20日|都立高入試「学力検査のみ」3校へ、米イリノイ州は昇給単位を認定大学院に限定

教育時事

今日は、ものさしの話が続く。

2026年9月20日の教育ニュースから、気になった4件を取り上げる。国内は東京都立高校入試で内申を使わない「学力検査のみ」方式が3校に広がるという話題と、猛暑の中でのスポーツが転換点を迎えているというNHKの特集、海外はUNESCOが公開した持続可能な開発のための教育(ESD)の実践ガイドと、米イリノイ州が教員の昇給に使える研修単位の質を見直したというニュースである。

国内の教育ニュース

都立高入試、内申を使わず「学力検査のみ」で算出する方式を3校に拡大…北園・武蔵野北の進学指導推進校にも導入

東京都教育委員会は9月17日、2027年度の都立高校入試で、学力検査点と調査書点を「7対3」で組み合わせる従来方式と、調査書を使わず学力検査点のみ(10対0)で算出する方式の両方を計算し、高い方の得点で選考する仕組みを北園高校と武蔵野北高校に導入すると発表した。この方式は2026年度入試で、困難を抱える生徒の受け入れを充実させる深沢高校に初めて導入されたもので、2027年度は計3校に広がる。北園・武蔵野北はいずれも都教委の進学指導推進校であり、深沢とは導入の位置付けが異なる。内申点に不安がある受検者でも志望しやすくする狙いがある。都立高の一般入試は原則として学力検査点と調査書点を7対3で組み合わせ、英語スピーキングテストの結果も加えて合否を判定している。

出典:日本教育新聞(2026年9月18日)該当記事

筆者コメント

内申点が腐敗の温床になりうるのであれば、内申を使わず学力検査のみで合否を判定できる道を開くという方向性は、必然の流れである。調査書の評価は教師の主観や学校ごとの基準のばらつきから逃れられず、それが受検者の不信を招いてきた以上、学力検査という透明な尺度に重心を移すことには一定の合理性がある。ただし、この動きが定着してある程度の時間がたてば、今度は「学力検査の点数だけで人を評価できるのか」という論争が必ず立ち上がるだろう。内申が担ってきた、日々の学習態度や多面的な資質を評価するという役割をどう引き受けるのかは、依然として問われ続ける。

転換点を迎える「猛暑の中でのスポーツ」…アスリートの健康と命が脅かされる現実、高校野球や部活動も対策を模索

NHKは9月18日、今年の夏も日本列島で厳しい暑さが続く中、猛暑下で行われるスポーツが大きな転換点に直面しているとする特集記事を公開した。背景にあるのは、アスリートの健康、そして命が脅かされるという深刻な現実であり、記事はプロ野球や高校野球、ラグビー、陸上競技、学校の部活動など幅広い競技現場で模索されているさまざまな暑さ対策を取り上げている。関連ワードには「熱中症」「教育」「夏の全国高校野球」が含まれており、学校体育や運動部活動の実施時期や運営の在り方そのものが問われる局面に入っていることがうかがえる。

出典:NHKニュース「転換点を迎える猛暑の中でのスポーツ アスリートにも迫る暑さの脅威 プロ野球 部活動 さまざまな対策を模索」(2026年9月18日)

筆者コメント

猛暑とスポーツをめぐるダブルスタンダードは、以前からずっと気になっていた。学校の体育授業は暑さ指数を理由に中止や制限を求められる一方で、夏の高校野球をはじめとする興行としての大会や、大阪・関西万博のような営利性の強い催しは、同じ猛暑の下で当然のように実施されてきた。体育授業は駄目で営利活動はよいというのでは、子どもの健康や命を守るという理屈が通らない。暑さのリスクは活動の目的によって変わるものではないのだから、教育か興行かを問わず同じ基準で判断されるべきである。

海外の教育ニュース

【国際】UNESCOが「持続可能な開発のための教育(ESD)」の実践ガイド3冊を公開…学校全体アプローチ・教授法・学習評価、10か国41機関で試行

UNESCOは9月17日、持続可能な開発のための教育(ESD)を学校や教育機関の日常に組み込むための3つのガイダンスツールを公開した。2024〜2026年に実施した「Transforming Futures」プロジェクトの成果で、日本を含む10か国の41機関が試行に参加した。第1冊は教える内容と学校の運営(リーダーシップ、日常業務、学習環境、パートナーシップ)を結びつける「学校全体アプローチ」を扱い、第2冊は批判的思考・協働・創造性など持続可能性に関わる教授法とコンピテンシーを扱う。第3冊は「ESDにおける学習の評価」で、従来型テストにとどまらず、知識・スキル・価値観・行動する力を、評価そのものを学習過程の一部としながら把握する方法を示す。各冊は単独でも利用でき、教員・学校管理職・教員養成担当者・研究者・政策立案者を対象とする。2027年1月にケニア・ナイロビで開かれる世界ESD会議に向けた準備の一環でもある。

出典:UNESCO「Transforming Futures: Enhancing practice for ESD for 2030 through action research. Launch of new UNESCO guidance tools」(2026年9月17日)

筆者コメント

教育に対する統制には慎重でなければならない。教育の実情は場によって大きく異なり、教育の目的も国によって違ってくるからである。それをすべて一つの思想で統制しようとすれば、国家機関や国際機関が洗脳に近いことを行うのと変わらなくなる。とりわけ教授法と学習評価は、その教育が何を目指すのかという目的と不可分である。目的が異なるのに、教え方と評価の仕方だけを固定化できるはずがない。学校全体で持続可能性に取り組むという理念そのものを否定するわけではないが、ガイドが各国・各校の文脈に応じて読み替えられる余地をどこまで残しているのかは、注意して見ておく必要がある。

【米国】教員の昇給に結びつく研修・単位の質を州が見直し…イリノイ州は「認定大学の大学院単位のみ」に限定、15〜45分で3単位の「単位工場」を排除

米国の多くの学区では、教員の給与は経験年数の「ステップ」と学歴の「レーン」で決まり、修士号などの追加学修で昇給する仕組みが一般的である。全米教員質評議会(NCTQ)の2026年データでは、大規模学区の9割超が修士号への上乗せを設けている。しかし短時間・低品質の講座を提供する「単位工場」が問題となり、イリノイ州は今年度から、昇給レーンの移動に使える講座を、地域認定を受けた高等教育機関が提供し、修士号以上の専門性ある講師が担当し、大学院単位として成績証明書に記載されるものに限定する法律を施行した。オハイオ州やカンザス州も、3単位の講座が15〜45分で修了できると報告されたプログラムを免許更新の対象から除外した。一方でNCTQは、修士号への昇給が児童生徒の学力向上に結びついた証拠は乏しいと指摘し、ノースカロライナ州のように学歴レーンをやめ、教員リーダーシップやメンター職の「はしご」を整備する動きもある。

出典:Education Week「What Sort of PD Should Give Teachers a Salary Bump? Some States Are Reevaluating」(2026年9月17日)

筆者コメント

こうした取り組みは面白い。注目すべき点は三つある。第一に、教員の昇給に対して、学校や教育委員会の内部評価ではなく、大学という外部機関が影響を与えられる仕組みになっていること。第二に、認定という形で講座の質を保とうとしていること。第三に、短時間で単位を乱発するようなズルをする大学を、きちんと対象から除外していることである。教員の学び直しが給与に反映され、しかもその質が外部から担保されるのであれば、教員にとっても学校にとっても納得のいく制度になる。良い取り組みだと思う。

本記事の要約は各出典記事の内容にもとづき、筆者が要点を整理したものです。

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