今日は、入口に立つ人の話が続く。
今日の教育ニュースから、気になった3件を取り上げる。初任者が置かれている状況、東京23区の大学定員規制、そしてAIによって就職先が細っていったコーディング教育の話である。
国内の教育ニュース
初任者は何に悩むのか──教師になる前の準備と学校に求められる支援
教職員支援機構の「教職スタート講座」が扱う内容の幅広さを手がかりに、初任者の悩みと準備のあり方を論じた記事である。志望者は授業以外の仕事や着任後の一日を具体的に想像できていないことが多く、初任者の難しさは授業準備、児童生徒への対応、保護者連絡、校務を優先順位をつけながら並行して進める点にあるとされる。学校側には、初任者を完成した教師として迎えず、助言を一度に詰め込みすぎないといった支援が提言されている。なお文部科学省の説明では、初任者研修は学級や教科・科目を担当しながら受けるものとされ、校内研修は週10時間以上・年間300時間以上、校外研修は年間25日以上が目安として示されている。
出典:ReseEd「【教師への扉】初任者は何に悩むのか…教師になる前の準備と学校に求められる支援」(2026年10月9日)/文部科学省「初任者研修とは」
筆者コメント
初任者にいきなり全般的な仕事を渡すことが当たり前になっているが、そもそもそれが無理なのだと言いたい。教師になる前の準備ということもよく言われる。しかし小学校課程と中高の教科専科を併せて取る学生の単位取得数はきわめて多く、私の知る範囲でも165単位ほどに達する。かなり大変である。教職課程にとにかく多くを詰め込めば、準備のできた教員が育成されるというのは大きな間違いだと思う。養成課程の段階では、学生はまだその問題に直面していない。問題のない状況でその問題について学ばせても、いくら知識として伝えようとしたところで刺さらない。こうした記事の結末が「より多く学ばせよ」になるのは、やはり違うと思う。
東京23区の大学定員抑制、都議会が撤廃求める意見書を可決
東京都議会は10月8日、東京23区内の大学に対する定員規制の撤廃を求める意見書を全会一致で可決した。この規制は2018年から10年間の時限措置として始まり、期限は2027年度末である。意見書は、場所だけを理由に定員増を抑えるのは不合理であり、規制後も地方大学への進学状況に変化は見られないと主張している。大学側からはデジタルなど成長分野の学部設置を断念したという声もあるという。国は有識者会議で今後のあり方を検討しており、意見書は首相や文部科学大臣らに提出される。
出典:ReseEd「東京23区の大学定員抑制、都議会が撤廃求める意見書可決」(2026年10月9日)
筆者コメント
撤廃すれば、地方の側がさらに細っていくことにつながりかねない。単純に考えればそうなるはずである。これまで効果は限定的だったと言いながら、撤廃によってその流れが加速する可能性はあると思う。そしてこれは、大学の定員抑制だけの問題ではない。都市部はそれだけ恩恵を受けているのだから、税の配分で調整するという手もある。思い切って省庁を地方へ分散させ、意思決定と雇用が一か所に集まりすぎる仕組みを緩める取り組みも面白いと思う。大学の議論だけに閉じず、国としての都市と地方のあり方をもっと全体的に見る必要がある。ただ、この議論の当事者の多くは、その利害の内側にいる。利害を超えて長期的に考える視点がなければ、判断を誤りやすいのではないか。
海外の教育ニュース
米国:AIの影響でコーディング教育プログラムが方針を転換
フィラデルフィアで高校生や卒業生にコーディングを教えてきたLaunchpad Phillyが、AIの普及で新卒向けの求人が減ったことを受け、カリキュラムにAI活用とプロジェクト管理を加えている。最初の集中コースの修了生12人のうち、1年後にフルタイムで働いているのは3人、進学が2人で、残りはフリーランスやパートタイムである。参加者からは、応募しても返信が来ないという声も出ている。純粋な技能教育から、AIを使いこなす力と実務経験の重視への転換が報じられている。
出典:Chalkbeat Philadelphia「AI forces coding program to revamp how it prepares Philadelphia students for tech jobs」(2026年10月8日)
筆者コメント
コーディングを学んだ人たちが、AIの普及によって就職先を失っていったという話である。これはテクノロジーの学習を教育課程に入れるかどうかという議論に、一定の示唆を与える気がする。学ぶ内容がものすごい速さで陳腐化してしまうからである。だからこそ抽象的な学力が重要になる。転換先とされたAI活用やプロジェクト管理にしても、それがいつまで社会的に有効かは分からない。あまりに社会の実情に近づきすぎて、すぐ使える即戦力的な技能ばかりを求めすぎると、こうなるのだという例なのだろうと思う。結局、どんどん転換し続けることになってしまう。
本記事の要約は各出典記事の内容にもとづき、筆者が要点を整理したものです。


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